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灰色の空の下――
その灰色の建物に慰めの雨がかかる。ザーッと音をたて、その音はより一層室内の者達を憂鬱へとせき立てていた。
――重犯罪独房65号
ここにはある者が捕らえれていた。
「看守さん…もしかして今、雨が降っていますか?」
その者は自由の世界に巣くう、法の番犬に声をかけていた。
「黙らなくてもいいではありませんか?今ここにいるのは私とあなただけ……そして、あなたの方が確実に優越です」
法の番犬はただその言葉を聞き流すだけ、そして近付く足音に瞬間的に反応する。
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