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煙が立ちこめる、この密集地帯が一時的に静かになる。
「怪我人は?」
琴美は逆サイドの壁にいる葵に尋ねた。
「ハンドグレネードを投げるなら言ってよ!危ないじゃない!」
「で、いるのいないの?」
琴美は冷静に聞く。葵は不満げな顔をして無愛想に言った。
「いないわよ!」
たく……こういう戦場が好きなヤツだからしょうがないか。
葵は琴美の楽しそうな顔を見て思った。
煙の晴れた通路は、避難口を指し示す蛍光灯のみに照らされ不気味に見える。
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