269人が本棚に入れています
本棚に追加
/494ページ
「お前は生きとる!せやから少し昔話に付き合ってもらえんかのぉ?」
「昔話?」
鋼一朗は静かに頷く。
「あぁ。これは今から18年前の話や」
――18年前12月28日
空には今にも雪を降らせそうな雲が広がっている。鋼一朗はそれを艦橋から双眼鏡で覗いていた。
「今日も天気悪いのぉ」
そう言った鋼一朗の目は一つの心配も写していた。
「艦長!現在海上に異変はなし、特におかしい点は見当たりません!」
背筋をピンと綺麗に張りながら、その下官と思わしき自衛官は敬礼をする。
最初のコメントを投稿しよう!