今の映り

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「悪いな、勝手に見せてもらった」 宛名は裕あてで、人事部からだった。 「お前……何勝手に見てんだよ!」 「机の上に放置してるお前が悪い」 「俺がいつ……」 裕は記憶を探り始めた。昨夜郵便ボックスからとって、机に放置したまま消灯ギリギリまで同期で遊んでいたのを思い出す。 「あっ……」 「思い出したか?」 「でもなんで読んでんだよ!」 「封開けろって言ったんはお前やろ」 「そういえば」 そう考えると自分が文句の言えない立場だとわかり顔を赤くした。 「まぁともかく昇進おめでとう!」 勝の場を取り繕うフォローが更に自分の羞恥心に拍車をかける。
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