足音

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「どうしたの國館三尉?」 琴美は裕の顔を見て言った。裕は突然振られたので考える余裕もなく、先程言ったことをそのまま言う。 「いえ……本当に待たせてしまって悪いなと思いまして」 琴美は小さく笑った。 「笑わなくたっていいじゃありませんか」 「いや國館君がかわいくて」 琴美が他人を君付けするのを久しぶりに見た。 最後に見たのは防衛学校卒業したときだっけ……。 裕はそんなことを考えていた。 「どうしたの國館君?」 「いえ、久しぶりに三佐が自分の事を君付けしたので」 「不快?」 裕は慌てて訂正する。 「い…いえ、不快とか……そんなんじゃなくて……懐かしいというかなんというか」
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