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『二日後か…。』
そう呟き、拓魅は、ぼっーとしていると、いまさらある重大な事に気付いた。
『二日後っていっても、修学旅行当日に死ぬわけにはいかないのか!いつバスが事故るかはわからないのだから、みんなが出発してからってわけにはいかない。もし、当日死ぬなら、自分のお通夜や葬儀で、クラスの修学旅行が中止にも成り兼ねない。そう考えると明日までには死ななくては…。』
拓魅は焦った。
自分が思っていたより死の時が迫っていたのだ。
今日、クラスの友達の大切さを知り、そんな友達や由紀ちゃんや潤の待ちに待った楽しい修学旅行を自分の死で台なしにするわけにはいかない。
拓魅が死んだ後の修学旅行自体が明るく、楽しい雰囲気で行われるのかどうかなんて事までは、今の拓魅には頭が回っていないだろう。
みんなの為に明日、拓魅は死ななければならない。
『明日死ぬ…。明日死ぬ…。俺が明日死ぬ…。』
そう思うと、今までの退屈な日常やクラスの友達などが急に愛しくなってきた。
それと同時に、今まで実感の全く沸いて来なかった死の恐怖が急に拓魅に襲い掛かって来た。
拓魅は、恐ろしくなり、ベッドの中で丸くなった。
どんなに気を紛らわせようと、他の事を考えても、どうしても死の恐怖からは逃れられない。
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