変わりゆく心

29/35
前へ
/155ページ
次へ
すっかり、日は落ち、薄暗い闇が広がっていた。 奇妙なほどしんとしている。 拓魅は、そのまま電気も付けずベッドに横になった。 ベッドの中に丸くなると、目を閉じた。 暗くて、何も見えない。 静かで何も聞こえない。 『死んだらこんな感じなのか?嫌だ!こんなのは絶対嫌だ!ずっとずっと、いつも通りの日々を送っていたい。退屈でも、つまらなくてもいいから、今までとなんら変わりのない生活を過ごしたい!せっかく修学旅行の班も由紀ちゃんと一緒になったんだ。由紀ちゃんも俺の事が好きなら、今後付き合って楽しい事だって、たくさん待ってるはず。クラスの友達とも、今まで以上に楽しめるはずなんだ。お母さんの手料理だってお腹いっぱい食べれるんだ。嫌だ!死にたくない!潤とだって…。潤?』 今日、帰りがけに潤と話していたクジ運の事を思い出す。 『潤のクジ運の悪さは、本当に運命の乱れの影響だとしか、説明のつかない程の悪さだ。あれがもし、その影響だとしたら、潤だけでなく、自分になんらかの影響があるはずだ。自分に影響したこと…?』 そう考えた瞬間、右足がズキッと痛む。 『そうか、これか。』 拓魅は、自分への影響に気付いた。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

566人が本棚に入れています
本棚に追加