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異国
しばらくして―
ショーンは、意識を取り戻した。目蓋が重く、目を開けることが出来ない。
頭がズキズキと痛み、身体がだるく感じる。
耳には強いの風の音が聞こえる。指を動かしてみると、砂のようなザラザラとした感触があった。
「っ…どうなってっ…んだよぉ…?」
身体を起こして目蓋を押し上げたショーンの瞳には、強い日ざしの中の永遠に広がる砂漠が見えた。
しかし、今は砂漠にいる。理解できないことばかりが続いて起こっている為、ショーンはどうしたらいいか分からなかった。
手足には手錠が付けられたままだった。
「くそっ…俺を殺す気か…」
ショーンは、蒸し暑い日差しを浴びながら歩き始めた。砂漠といえばラクダや馬ならそんなに時間がかからないだろう。
「どっちに行けば出られるんだ?」
一時間ぐらいして、ショーンは滝のような汗と手足の手錠の重さにふらふらだった。着ていたシャツは汗で濡れ、。日影すらない砂だけの世界に一人で歩き続けた。
「もう…歩けねぇ…このままここで死ぬんだなぁ…」
その後何時間か歩いたが砂以外何も見えることが無く、疲れ果てたショーンは倒れこんだ。足は砂にまみれて重くなっている。
覚悟を決めたのか…ショーンは眠気に負けたのか…目蓋を閉じてしまった。
静かになった砂漠に馬の駆ける足音が響く。ショーンの近くを通り過ぎたが、戻ってきてショーンの近くに寄った。
馬から降りた者は頭にターバンを被り、白衣に身を包んでいた。
ショーンを抱えあげて、馬に担がせると再び馬を走らせた。
心地よい風邪が肌を撫でる度に髪が揺れる。
さらさら…と揺れる金色の髪に何かが触れる。
しかし、目蓋が重くて見ることが出来ない。手を動かしてみたが、やはり手錠の音とともにもう一方の手が引っ張られる。
そのまま意識が薄れていった…
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