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「おい…起きろ…」
誰かが呼ぶ声が聞こえる。聞いたことのない言葉が聞こえる英語じゃない言葉だ。呼ばれるかのようにショーンは目を覚ました。
「なん…だよっ…」
ショーンは重い目蓋を持ち上げて、辺りを見渡した。柔らかな弾力のあるベッドの上にいた。
寝起きが悪く、不機嫌に文句を零す。
起きあがろうと片手を着いてみると手錠で繋がれてるはずの両手が自由になっていた。
「あんまり起きないから死んだのかと思ったぞ?」
体を起こしたショーンに近くから声を掛ける。
近づいてきたのは長い黒髪をポニーテールにして、左側の長い前髪を垂らして片目を隠した黒人だった。
数々の女性に出会ってきたがこんなに美貌を持つ男は初めてみた。
「俺、砂漠で死んにかけて…あんたが助けてくれたのか?」
男の言葉が聞き慣れない言葉で理解できないが、ショーンは英語で話していた。
「あんな砂漠で何をしていた?」
ショーンの話す英語を聞いて男は英語を話し始めた。
ショーンが米国の者と一目で解る容姿に白い肌色と青色の瞳。
「旅行中に仲間とはぐれてたんだ」
さすがに逃亡したあげくに置き去りにされたとは言えない。
犯罪者と分かれば国際警察に突き出される可能性もある。暫くは様子を伺ってから金を奪って逃げようと思った。
「旅行?手錠をしてとは変わった旅行だな…」
しかし、男はショーンの姿を見て嘘だと判っていた。
「あんたはここの国の偉いさんか?」
ショーンは話を変えようと男に質問した。
容姿からして男に違和感を覚えていた。
装飾品が宝石で絹の衣服に周りには警護の男達が数名いた。
「ああ…滞在許可は出してやろう…その間私の屋敷で暮らせば良い」
ショーンの視線を知って男は砂漠から来て不法入国者だと解る。しかし、白い肌の異国人に興味を持った。
「それは助かる!…親切で良かったぜ!」
ショーンは、安堵した。見知らぬ土地で言葉も通じない、金もない状況では暮らして行けない。暫くは身を隠すには好都合な展開だった。
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