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「この世界でお前は『イレギュラー』だった」
彼の―――恭介の言っていることが俺にはわからなかった。
学校の廊下に俺達二人が対峙している。
今は昼休みの筈なのだが、この学校に誰も居ないかのような静けさだ。
「『あいつ』が歩むはずだった『道』をお前が歩んでる」
恭介が一人で話を進めていく。
会話をしようとしても声がでない。さらに体も動かない。
「初めは修正が効くと思ってたさ。だがお前は想像以上の高さまで飛び跳ねたイレギュラーだった」
恭介は俺を見つめている。
その瞳はなんだか―――哀しんでいるようだ。
「だから体を張ってお前が『あの人』に会いに行くのを止めに来た。お前がここで止まれば楽しい日々はもう少し続くんだ」
確かにみんなと過ごす日々はひたすらに楽しい。だが、もう少しとはどういう意味なのだろう?
それに「あの人」に会いに行きたい。
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