孤独の寂しさ

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―放課後― 「…ん、ん~」 午後の授業を全て寝過ごしてしまったらしい。 辺りはすでに暗くなり始めていた。 まだ頭がぼんやりとしているが、俺は帰りの支度を始める。 そんな時、廊下から足音が聞こえた。 どんどんとこちらに向かって来る。 通り過ぎるかと思われた足音は、この教室のドアの前で止まった。 「誰かいるの?」 ドアを開けて入って来たのはクラスメイトの二木さんだ。 「あなた…もしかして今まで寝てたの?」 「はぁ、まあ」 まったく、と言わんばかりに彼女は肩をすくめた。 二木さんはこのクラスでハル以外に俺に話し掛ける人間だ。 話し掛けると言うよりは、注意や必要事項を一方的に言われているだけだが。 「二木さんはこんな時間に何をしてるんですか?」 「学校の見回り。風紀委員の仕事よ」 そう言えば、彼女は風紀委員長だったな。 「そういうことだから、早く帰りなさい」 「スイマセン」 俺は鞄を肩に掛けて、彼女の脇を通って帰路につこうとした。 …が。 「やっぱりちょっと待って。話があるわ」 声を掛けられ、止まらざるをえなかった。  
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