孤独の寂しさ

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「話…ですか?」 「えぇ、そんなに時間はとらせないわ」 断る理由も見当たらないので、とりあえず聞いてやることにした。 「三枝のことよ」 一瞬で聞く気が失せた。 「彼女のことで貴方と話すことはありませんね」 何故かハルは常に風紀委員から目をつけられていた。 故にその委員長にハルのことを話すなんて、裏切りのようなものだ。 何があっても友達は売らないし、守ってやる。 これが俺の心の中で一番大切に思っていることだ。 「帰ります。さよなら二木さん、また明日」 「待ちなさい!!」 いつも冷静な二木さんの声が一変し、ビクッとしてしまう。 「あの娘…三枝と関わるのはやめなさい」 「どうしてですか?」 俺は教室から出て行こうとしていたので、二木さんに背を向けながら尋ねた。 「…あなたに…あの娘は救えない」 「えっ?」 先程とはうって変わって小さな声。 俺はそれを聞き取れなかった。 「………彼女と関わるとろくなことがない。それだけよ」 それだけのことか。 「内申にも響くわ。だから、三枝と関わるのはやめなさい」 はっ、と鼻で笑ってやりたくなるセリフだ。 「断ります」 「どうしてッ!!」 声に感情が入りながら、尋ねる二木さん。 簡単じゃないか。 「俺がツルむ人間は俺が決めます。貴方にどうこう言われる筋合いはない」 そう言い残して、教室を後にした。  
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