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5月23日
~放課後~
カッキーン!!
「うぉぉぉぉぉぉぉおお!!!!」
センターの深いところに飛んだ打球をジャンピングキャッチ。
カッキーン!!
「うらぁぁぁぁぁああ!!!!」
レフトの来ヶ谷が追わない打球をダイビングキャッチ。
カッキーン!!
「だらぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!」
セカンドの小毬がおろおろして、捕れなさそうなフライをまたダイビングキャッチ。
カッキーン!!
センターの俺の頭上を軽く越えていく白球。
「おいッ!!理樹!!俺に恨みでもあんのか!?」
練習開始一時間、俺はすでに肩で呼吸している。
それもそうだ。
なんたって、バッティングで飛んでくる野球ボールは、八割がセンターの守備範囲内に落ちている。
これは悪意以外に考えられんぞ!!
「ゴメン!!打ち返す場所コントロール出来ないんだ。鈴がノーコ………」
「ノーコン違うわ!!ぼけぇ!!」
ボクッ!!
叫ぶ鈴の声と鈍い音が重なる。
「ぐわっ!!」
鈍い音は………理樹へのデッドボールか…。
実は鈴、コントロールいいんじゃねぇの?
自然と笑みがこぼれる俺。
「紅ッ!!笑ってないでボール取ってこい!!ボールぶつけるぞ!!」
「へいへい、鈴様」
俺は校舎の裏に飛んだボールを探しに出かけた。
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