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ボールを取りに行く途中、来ヶ谷の姉さんとハルに会った。
二人の手の中には大量のスポーツ飲料。
どうやら、チームのメンバー全員の飲み物らしい。
「紅くん、どこ行くの?」
「ちょっとボールを取りに校舎裏までね」
そんな俺の言葉を聞いて、姉さんは。
「ほう、校舎裏か…。………ふふっ、頑張れ紅少年」
「なんですか!?その含み笑いは!!怖いんですけど!!」
「気にするな。備えあれば憂いなしだぞ」
そう言って俺のすぐ横を通り過ぎて、グランドへ向かった。
「また後でね、紅くん。ちゃんとジュースとっておくから」
そうしてハルは姉さんの後を追うように去っていった。
「備えあれば憂いなし…って、意味がわかりませんよ…」
俺は不安を抱えながら校舎裏へ向かうのだった。
校舎裏に着いた時、姉さんの含み笑いの意味がわかった。
野球ボールの代わりに、すぐそこで見つけたのは………。
「………二木さん」
幸い、相手はまだ俺の存在に気付いてはいない。
俺は植木の陰に隠れて、二木さんが去るのを待つことにした。
彼女にハルの話をされて以来、極力避けていたのだが、まさかこんなとこでね。
「どうしたの?」
二木さんの声。
バレたか!?………と、思ったが。
「ワンッ!!」
「だから、どうしたのよ。ストレルカ」
話し相手はどうやら犬のストレルカさんだったらしい。
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