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近付いても二木さんは俺の存在に気付かない。
「…うぅっ…ぐすっ」
いつも彼女は一人で何かを抱えこみ、こんな風に一人で泣いていたのだろうか?
「ほれ、ストレルカ。魚肉ソーセージだ」
「!!!!」
俺の存在に気付き、二木さんは驚き立ち上がる。
彼女の頬は涙で濡れていた。
「あんたには………ハンカチだな」
そう言って、俺は彼女にハンカチを差し出した。
「…えっ」
俺がいたことの驚きのあまり、自分が泣いていたことを忘れていたらしい。
「涙」
自分の頬に触れ、さきほどまでのことを思い出したようだ。
彼女の顔はは恥ずかしさのあまり、真っ赤に染まる。
そして涙を拭うため、俺の手からハンカチを奪うようにとっていく。
こんなところを見ていると、なんだかんだ言っても、彼女が女の子なんだと痛感させられる。
涙を拭いた彼女は、紅い顔のままうつ向いてしまう。
先ほどよりは落ち着いたようだが、泣いているところを見られたのが相当恥ずかしかったようで、ハンカチを握る手に力が入っていた。
「…いつから見てたの」
ぼそりと呟くように二木さんが尋ねる。
「ちょっと前くらいからかな」
「それで…私が泣いてるのを見て楽しんでたわけ?…最低ね」
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