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「人のことを隠れて見てたんだ、最低なのは否定しない。だけど、別に楽しんでたわけじゃない」
確かに最低な人間だよ、俺は。
人の心に土足で入ったようなもんだ。
「人のことを隠れて見てた?あなたストーカー?」
「違っ………まぁ、そう思われてもしかたないか」
反論なんて意味がないな。
もう少し考えて動けば良かったと今では思うよ。
俺は、魚肉ソーセージを食べ終えたストレルカを撫でてやる。
「………」
二木さんは黙ったまま俺の後ろにずっと立っている。
去らないということは、まだストレルカに用があるということだろう。
きっと俺が邪魔になっているのだ。
「悪いな、最低な人間は消えるよ」
そう言って、俺が立ち上がった時だった。
「待って」
二木さんが俺を呼び止める。
「ん?」
「………………ありがとう」
「へ?なんで?」
「だ、だから………ストレルカのゴハンよ」
「別に気にすることじゃない。ポケットに偶然入ってただけだから」
「でも………私じゃ何も出来なかった」
さっきの俺を罵倒する声とは違う、消えてしまいそうな声。
そして、またあの顔。
そんな悲しそうな顔をしないでくれ。
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