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「何も出来ない…ってことはないんじゃないか」
「えっ…」
「二木さんはストレルカを撫でてやることだって出来るし、話しかけてやることもできる」
そう、何も出来ないわけじゃない。
すこしクサいセリフだったかもしれない。
でもそのクサいセリフのおかげで、二木さんの顔から悲しみの色が消えた。
「…ふふっ、そのクサいセリフは慰めのつもりかしら?」
あの二木さんが微笑んでいる。
彼女が笑うのを初めて見る気がする。
「まぁ、そうなるかな」
自然と俺も笑ってしまう。
きっと彼女の笑顔が嬉しかったんだ。
「ストレルカといい、ハンカチといい、その慰めといい………優しいのね」
「優しいんじゃないよ。甘いんだ」
「ふふっ、そうかもしれないわね」
その後、二木さんは委員会の仕事があるとかで行ってしまった。
俺は慌てて野球ボールを探してグランドへ戻ったが…。
「遅いんじゃ!!ぼけぇ!!」
「グハッ!!」
鈴の投球をみぞおちで受ける事になった。
鈴…お前やっぱりコントロールいいわ…。
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