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5月15日
朝、学校に登校してくるといつも通り俺の上靴がない。
置いてある場所はわかっている。
いつも通り、廊下に備えられたゴミ箱の中だ。
奴らも進歩がないな。
そう思いながらゴミ箱から上靴を拾いあげ、教室へ向かった。
教室に入っても誰も俺に声をかけることはない。
そのまま俺は自分の席に向かうことにした。
三枝はまだ来ていないようだ。
まぁ、それもいつも通りなのだが。
三枝はよく遅刻してくる。
噂では、彼女は寮を抜け出し夜遊びをしていると言う。
所詮は噂であり、真実ではない。
席に着くと同時にチャイムが響いた。
騒がしかったクラスの人々が、それぞれ自分の席に着き始める。
丁度その時教室の扉が開く。
担任ではない、三枝である。
俺の時と同様、誰も声をかけない。
三枝はそんなことは気にせず自分の席に向かう。
その途中、俺と目が合った三枝は言った。
「おはヨウです、紅君」
「あぁ、おはよう三枝」
お互いがクラス内での唯一の話し相手であった。
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