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三枝は最近あるのクラスによく出入りしているらしい。
ちゃんとした友達が出来たのだろうか?
それはいいことだ。
―昼休み―
「ねえねぇ紅君」
俺に慣れてきたようで、昼飯を一緒に食うような仲になった。
話し方も普通だ。
「なんだ三枝?」
「あのね、下の名前で呼んでほしいな」
「はぁ!?」
あまりにも唐突過ぎて、手に持っていた箸を落としそうになった。
「いきなり何を言い出すかと思えば…」
「いいからいいから~。葉留佳だから、ハルちんでもハルちゃんでもいいからさ~」
「いいじゃないか今のままでもさ。苗字が嫌いなのか?」
なにも考えてない質問。
俺はバカだった。
「…うん、嫌い」
三枝の顔が急に暗くなってしまう。
三枝に出会って以来、こんなに暗い顔は初めて見るものだった。
「…うん、嫌いなんだこの苗字」
彼女の触れてはいけない部分に触ってしまったようで、心が痛んだ。
だから―――
「わかったよ、『ハル』。そう呼ぶよ」
驚いたように顔を上げ、こちらを見つめる。
だから俺は笑ってやった。
それで、ハルも笑ってくれた。
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