106人が本棚に入れています
本棚に追加
『寒っ…。』
空は木枯らしの吹く公園のブランコに座っていた。時間は午後5時。この時期の5時はもう十分過ぎるほど真っ暗だ。
ポツリと点いた街頭1つが、寒さで凍えた空を照らしていた。
『悪ぃ。ヤマトとイチャついてると思ったからさ。』
嫌味を口にしながら太一が現れた。
『うぅ…。なんでそんな言い方するのよ。』
『…。』
『私の気持ちも知らないで!』
『ごめん。』
今日の太一は思ったより素直だった。
『私はただ、どうして太一が私のことを避けるのか聞きたかっただけよ。』
太一は自分でもわからない気持ちを打ち明けた。
『俺、聞いちゃったんだよ。女子が話してるの。お前、ヤマトのこと好きなんだろ?』
突然の質問に空は顔を赤らめた。
『なっ!?』
『そしたら俺だけもう仲間じゃないような気がしたんだよ。なんか今までの関係が壊れるっていうか…。』
太一がそんなこて考えていたなんて、空はちょっと寂しかった。
『太一、ごめんね。私の性でそんな思いさせて。』
『バ、バカ!謝んなよ!格好悪いだろ。』
太一も赤くなった。
2人が話をしていると
『なんだ、そういうことかよ…。』
振り返ると、ヤマトが立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!