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そして、彼は蘇った。文字通り手も足も出ない束縛の中、見ていられないほど苦悶し、むせ返って細かい血の粒を吐き散らした。
通常は生き返るのに二週間はかかるというが、何度も繰り返し死んでいるうちに、自ずと体が慣れてしまうようで、場合によってはたったの数秒で回復するようになる事もあるらしい。
まさに不死身である。悪霊が憑いているというのも、何の例えでもなく、本当の事なのかもしれない。
――カルスト自衛軍の舟が、まもなく汚物の河を渡り切る。
小隊長達が潔く舟から飛び降り、河に足を沈めた。
以下、イザヤを含む全ての兵士がそれに従い、舟を浅瀬まで引き上げた。途中で嘔吐する者もいた。
付近は伐採が進んでいる為、見通しが良く、リスや亀ならともかく、ドリタ人が隠れられるような場所は無かった。野生人に逢うには、少し歩かなくてはならない。
「止まりなさい」作戦の統率者が短く声を張り上げた。一同は立ち止まって彼を見た。「勇敢なカルスト人の戦士達よ、改めて聴きなさい。知っての通り、ドリタ人は高く売れるし、今や国のあちらこちらから需要が集まっている。だから、多く持ち帰るほど、我々は儲かる。しかしながら、初めての者は特によく聴くが良い。収穫は一人で充分である。欲を掻いて死ぬような事があってはならない」
「わかりました」
兵士達は応えた。
危険な仕事である事は、ここへ来る前から何度となく説明されていた。新人のイザヤも耳に胼胝が出来ていたが、一度でも実戦を経験している年長者は、皆、自分より真剣そうに見えた。
その後、作戦内容の確認が行われ、部隊は舟の見張りと捜索の二手に別れた。
かつては河の上流にカルスト人の架けた橋があったが、森のドリタ人が自衛軍の侵攻を防ぐ為に壊してしまった。それ以来、ドリタ人の根城へは舟で行く事になり、また、その舟を破壊されないよう、こうして見張りを置くしかなくなったのである。この場所の伐採も滅多に行われなくなった。
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