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その頃、海の近くの岬のすぐそばに、一件の家があり、その家の前で、一人の少年が、一羽のにわとりに剣術の稽古をつけてもらっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、まだまだ!…とぁ!!」
少年は、木刀をにぎりしめ、左上段の構えでにわとり目掛け走った。
「そうきますか……よっと!」
にわとりは、少年が次々に放つ形を次々に交わしていく。
そして、一度木刀の上に乗り、
「行人君、そろそろ休もうか。」
「はい…僕も疲れてきましたし……」
このにわとりに稽古をつけてもらった少年は、
東方院行人。
この島で、唯一の人間の男子だ。
彼は、父親と派手に喧嘩して、家出した末、この島に流されてしまったのだ。
そんで、こんな行人君の稽古をつけていた、このにわとりは、からあげ。
この島には、東西南北を納める‘主’と呼ばれる動物がいて、彼は、その中で西の主と呼ばれており、事実上、島の中では最強だと言われている。
行人は縁側に座り、溜め息を着いた。
行人
「はぁ………やっぱりまぐれだったのかなぁ…」
からあげ
「ん?……どうした?行人君。」
行人
「いえ……一度はからあげさん勝てたのに、なんかもう勝てない気がして………」
説明しよう
行人は以前、島全体を使って行われた、狩物競争で、東西南北の主と対決、見事勝利を納めたことがあるのだ。
(詳しくは、原作・ながされて藍蘭島・コミックス10巻で…)
こんな事を言われて、からあげの心境は複雑になってしまった。
「ま、まぁ…運も実力だろうし、それに、あの時の行人君の目は、完璧に武士のものだったし…」
「そうなのかなぁ…」
行人は、さらに考え込んでしまった……
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