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◆ ◆
ふいー。春って季節は大好きだ。
暑くもなく、寒くもない、ちょうどよい気温。全く……こうやって話してるだけで睡魔が俺の心にダイレクトアタックしてくるぜ。
そうそう、他には俺の大好きな桜が満開の季節だ。特に夜桜は最高だね。月明かりに照らされながら淡いピンク色の花弁を散らす様がなんとも言えん。
まあ、そんな大好きな桜の木の下にいるんだが……今はそんな楽しい気分じゃない。
隣にいる変態女……いや、訂正。変態番長のせいで俺はすこぶる不機嫌だ――
「枢太! 大好きだっ! このまま儂の家に行かぬか? そのままにゃんにゃ~ん、な展開になろうぞ!」
「そうか、残念だったな。俺はそうじゃない。そしてお前の家に行ってにゃんにゃ~ん、な展開になるつもりなんて毛頭ないわ」
「な、なんとっ!」
番長として、改心制裁の時は人切り包丁をも上回る鋭さの眼光で制裁対象者を睨みつけてるくせに、今じゃ口を開いたかと思ったらこれだ。こんなの変態と呼ばずになんと呼ぼうか?
俺だったら敬意を称して、こう呼んでやろう。〝ド変態〟と。
あん? こんな美人がそんなはずはないだと?
ああ、そうだな。見た目だけだったら、そう言っていいだろう。しかしな、こいつは正真正銘の変態だ。ド変態だ。
だってな! これでも出会って〝3日〟だぞ? 俺は出会って3日の奴に、こんなこと言う女が変態じゃないとは言えないね。
俺はまさか、こんなラブコメ小説的な展開になるとは思ってなかったぞ。最近読んだ、あのラブコメ小説なんだったっけな? 確か恋の嵐がどーたらこーたら、だったはず。それ以上は知らん!
まっ、お前らも俺とこの変態番長がどうやって出会ったか知りたいだろう?
知りたくない? そんなの知らん。黙って聞いとけ。
俺と〝この女〟が知り合った3日前の入学式に記憶を遡ってみようか――
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