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「お、お持ちしましたご主人様…」
震えて強張った声がとてもいい。まるで、僕たちが初夜を迎える時のシュミレーションみたいで。
まさか、僕が声だけでこんなに興奮するなんて。自分でも少し驚いた。
はっきり言うと、欲情していたのだ。自分でも恥ずかしいくらいに。経験不足ではないと言いつつも、このシチュエーションでは致し方ない。それに、相手はアスランなのだ。
「もっと近づいて、耳元で言って欲しいな」
欲情されているとは露知らず、アスランは幾分ぎくしゃくした動きで、だけど素直に顔を寄せてきた。
「…お持ちしました、ご主人様」
耳に吐息がかかる。
我慢できないのは僕の方だった。
「……もういいよ脱いじゃって。」
「へ、あ…うん」
慌てて、自分に制止をかける。マジで押し倒そうかとしてしまった。
僕もまだ、若いんだなあ…。
この場合の若いは、もちろん実年齢の事ではなく精神年齢のことである。
アスランはいそいそとエプロンを脱ぎ、僕の隣に座る。
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