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帰ってからすればいいと思っていたキスは…
「うわーすげー、真っ白、」
部屋に入るなり加持は猫を探して、そうしてオレの部屋のベッドの後ろに居た猫を抱き上げた。
そうして、その猫の鼻先に愛おしそうにチュっとされていた。
と、いうか。
なんだ?あの猫。
違和感に気づく。
昨日から今朝、オレには指一本触らせなかったくせに…
加持には素直に抱き上げられているし。
加持がそのままソファに座れば膝の上に乗っかっている。
つまり懐いている。
「…なんだよ」
それから…数時間、ずっとだ。
ずっと、猫は加持の膝の上。
オレが頭を寄せることもできない。
近づいてもういいだろうと、追い払おうとすればシャッとまた爪を立てられるか、歯をむき出しにされ毛を逆立てられた。
「青木ー、お前何したんだよ、怖がらせたんだろ?」
もー、近寄んなと加持がシッシとオレを払う。
面白くねぇ。
「何もしてねぇよ、最初っからだ」
ちらりと猫に見られた気がした。
そうして加持の手の甲にすりすりと頬を寄せる。
気持ちよさそうにだ。
おい、まてテメェ…
猫に思ってしまった。
テレビをつけて、加持が居るソファには座れず少し離れた床に腰を下ろした。
視界の端に加持の指先が動いているのが見える。
猫を撫でているのだ。
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