好きな人をおとす方法③

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制服のポケットに片手を突っ込んで、片方にはタバコ。 眠くて早退。 なんたる様だ。 ふぅーっと吐き出して。 曲がり角のとこの自販機でジュースでも買おうと歩き出す椎名。 「よー、」 歩道橋から降りてきたのは、小田だった。 お互いの周りに誰も居ないのを知ってか、いつもの口調とは違う…夜2人で話す時のそれで。 椎名の胸がトクリと鳴る。 「さぼり?」 「…話掛けんな」 公衆の面前で普通の会話なんてあり得ない。 「何だよ、誰もいねぇよ」 「……」 「んな顔すんなよ、オレもさぼり。どっか行かねぇ?」 昼間から? 戸惑いながらも、緊張する胸の奥。 浮かれる自分を椎名は知っている。 結局、駅裏から少し離れたどちらの学校も使用頻度が少ないマック。 「お前っ!」 椎名が声をあげたのは、トレイを持った小田が向かいではなくソファの隣に座ったから。 「オレ、あっちの丸椅子嫌いだし」 並んでなんて恥ずかしいヤツと、慌てて椎名は席を立とうとする。 「椎名、お前オレの正面見て食えんの?」 オレはじっくり見れるからいいけど、 そう小田に見上げられて、椎名は上げた腰を止め、暫くして同じ所に腰を下ろした。 (つか、何なんだよ!小田!…つかオレも…) 何でこんな態度なのだと少しイラつきさえ椎名は感じる。 しかし、当たってるのだから悔しい。 (ぅあ、何かわいいことしてんだよ、椎名) 椎名の行動にをそう思わずには居られない小田。
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