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「お前…彼女は…?」
そう言えば、そういうことにも苛ついていたのにと、椎名は思った。
今は、どうでもよくなっている。
単純だと椎名は思ったが、一応聞いてみた。
そして、この状況が小田に木の丸太のベンチに押し倒されているという状況も。
どうでもいいというよりは、すごく心地がいい。
つまり幸せなのだ。
「ん?別れた。つか、テメェのせーだし、責任とれよ?」
「…知らねーよ」
「嘘つくなよ、あんな荒れてたくせに」
「…」
「電話も出ねぇし」
「…」
「何可愛いことしてんだよ、女子かてめぇは?」
「…うっせぇよ」
「椎名、可愛い」
「…だから、るせぇって…」
ちゅっと、額の髪を退けられ瞼に口付けられて。
それから、唇にも軽く触れられて。
「つか、お前の口ん中、血生臭いし」
そう言う小田の声が、だんだんと低くなってくのに椎名の鼓動が早くなる。
なんか、急にそんな雰囲気だし。
「…小田」
「何、」
いつの間にか視界の下に消えた小田。
はくりと椎名の首筋に噛み付くようにキスをした。
「ちょっ…」
「ん?」
それから喧嘩で汚れたシャツのボタンを小田の指先が外している。
露になった鎖骨にも、チュッと音を立てて。
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