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―俺達、そろそろ子供作らないか?―
それは生活がよくやく安定してきた時の事だった。
夫が私を喜ばせようと言った言葉
それは私を幸せから絶望へとつき落とした。
―私っ…!―
自分が信じられなかった。
涙が後から溢れてきて、私はその場に座り込んだ。
―美和子!?―
夫は驚いて私に駆け寄った。
理由を訪ねられても私は泣き叫ぶ事しかできなかった。
むしろショックのあまり言葉を失ってしまったかのようだった。
―美和子…―
そんな私を夫は落ち着かせようと必死だった。
―貴方…私…取り返しのつかない事をっ…母親として最低な事をしてしまった…!―
私は泣きながら途切れ途切れに夫に真実を話した。
働きに出てすぐに自分が妊娠した事
美由という娘が生まれ、現在施設に預けている事
それを忘れてしまっていた最低な自分を…
―迎えに行こう。今すぐに―
夫は私をなじることも責めることもしなかった。
すぐに美由を迎えに行こうと言ってくれた。
しかし…すべては遅すぎたのだ。
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