エピローグ

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――――。 自分はまだまだ、殺し屋として未熟者だ。 少しのことで動揺し、臨機応変な対応もできない。天条の鉄の力も不安定な上、情に流されやすいという欠点もある。 もっとたくさんのことを学び、そして多くの経験を積まなければ、稜成や楓のような一流の殺し屋になることなど、とうてい無理な話。 ……でも、 でも、それでも良いのではないだろうか。今の条一は、少しだけそう思ってしまう。 勿論、一流の殺し屋になるというのが、条一の最終目標であることに変わりは無い。 しかし、今回の佐伯千鶴の依頼は、雪城や千鶴本人が言っていた通り、条一が未熟者であるからこそ解決へと導くことができたのではないか。 自分の流儀にとことんこだわり、臨機応変な行動ができない。後先考えずに行動し、がむしゃらに真実を追い求める。 それは、明らかに、殺し屋として不適切で未熟な行動であるはずなのに……結果として、条一は佐伯千鶴を救うことができたのだ。 そうだ。 必要なのだ。 自分のような、未熟な殺し屋も。この社会には。殺し屋には。 そう思うと、条一の口からは、苦笑が漏れてしまう。 頑張ろう。 これからも、毎日鍛錬し、色んなことを教えてもらい……自分の出来る限り、殺し屋としての仕事をこなしていこう。 焦る必要なんてない。 一流でなくても、たとえ未熟者でも。 自分にできること、自分にしかできないことは必ずあるのだ。 先を見据えず、今としっかり向き合って一歩一歩地道に進んで行くことこそが、最善の道。 それが、今回の依頼を通じて、殺し屋天条条一が学んだ大切なことなのである。 ――――さて、 そういうわけで条一は、自分らしい答えを見つけることができたわけだが。 それよりもまず先に、見つけておかねばならない答えがあることを忘れてはならない。 ――楓と紗夜に包囲された今のこの窮地を、どう乗り切ればいいのだろうか。 「…………はぁ」 どう考えても絶望的なこの状況に、条一は深い深い嘆息を漏らす。 結局、どんな殺しの依頼よりも、身近な現実が一番解決が困難だということを痛感するわけで。 そしてそう考えると、条一の口からは再び苦笑が漏れてしまうわけで。 「……とりあえず、一旦落ち着きましょうか」 一人の見習い殺し屋が言葉にできたのは、ただそれだけだった。       ~fin~

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