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ざわめく会場
線香の香り
喪服の人々
「奥さん、ひどい殺され方だったんでしょう?」
「お腹を裂かれて…惨い事する人もいるのね」
「いい人だったのに…」
参列同士の話し合う声も俺には人事のようで
「由貴さん…早く犯人捕まるといいわね」
「はい…」
俺にかけられる励ましの言葉すら空耳のようだ。
俺の目の前で微笑む、妻の写真
棺の中では俺の妻、美和子が眠っている。
その死に顔は眠っているみたいに安らかだ。
本当は違う
美和子は何者かによって殺された。
腹を切り裂かれ、恐怖に顔を歪めて…
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