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ドドン!
「一輝様のおな~り~」
景気よく太鼓の音がして簾が開くと、眼下に天狗一族さんがずらりと並んでいる
「それでは僭越ながら、彩葉家より最初の言葉を贈らせていただきます」
巻物を広げて読み始めた面の人を見下ろして、俺はイマイチ状況がつかめないでいた
「あ、あの~」
俺は少し後ろにいる男の人にこっそり声をかける
「何でございますか、一輝様」
少し高揚した様子で男の人が応える
若いけど俺より確実に年上だ
「俺、今の状況が全く読めないんだけど…」
「ふふっ…そうでしたね、一輝様は18歳になられました、そこで立派な長になっていただく為にお迎えしたのです」
は?
「長…?」
「一輝様の家系は天狗族でも一、二を争う程の妖力を持つ家系でおいでなのですよ」
天狗って…
「そんな…親父は普通のサラリーマンでお袋も専業主婦だし」
あんなニコニコ夫婦が裏では天狗業してた訳?!
「一徳様は妖気の発現が見られませんでしたので、下界の世界で暮らす事を選択されました」
男の人は少し寂しげに言う
「そっか…ちょっと安心、けどさぁ…俺も妖気なんて無いと思うけど?」
生まれてこのかた妖気はおろか、妖怪だとか幽霊だとかと遭遇したためしもない…
いや、じいちゃん達は妖怪か
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