Allegretto🎶

～愛情～

中津邸の薔薇園で 秀二が妻の愛美に薔薇の手入れをしながら難波邸で奏に会った事を話した。

「まあ……奏さんはお元気でしたの？」

「ああ……しかし…かなり滅入ってたよ…」

「難波先輩とは上手くいっていないのですか？」

「そうじゃないけど…先輩がピアノのレッスンに明け暮れてて奏は寂しいみたいだ…」

「そう……それは心配ですわ…奏さんにも幸せになって頂きたいし…」

「愛美…奏を元気付けてやったらどうだい？」

「ええ…明日にでも奏さんのお宅にお伺いしますわ」

愛美は明日奏に会いに行く事にした。

明くる日愛美は奏の自宅に向かった。

「久しぶりだわ…この薔薇 気に行ってくれるかしら。」

愛美は育てた薔薇の花束を手にしていた。

「ピンポーン！」

奏の自宅のインターホンからは家政婦の応対の声があり愛美は開いた門から中に入った。

そして応接室に通されソファーに座って奏を待った。

しばらくして奏が部屋に入って来た。

「愛美……お久しぶり…お元気でしたか？」

「奏さんこそお元気そうでなによりですわ！…あっこれ私が育てましたの…」

愛美は薔薇の花束を差し出した。

「まぁ…綺麗な薔薇！凄く嬉しいです…ありがとうございます！」

「難波先輩は相変わらずレッスンですってね…」

「ええ……」

「奏さん……気をしっかり持って下さいね…私達がついていますわ…」

「愛美…ありがとうございます…お会い出来て安心出来ました…」

「なんでも私達に言って頂いて良いのですのよ…」

「嬉しいです……でも一樹が…」

「先輩…今は大変な時期だから…コンクールまで支えになってあげて下さいね…」

「私など何も出来なくて…」

「奏さんが側にいてあげるだけで良いと思いますよ…それで先輩は頑張れると思いますわ…」

「……そうかしら……」

「先輩は奏さんのために頑張っていらっしゃるのよ……奏さんを愛していらっしゃるからです」

「………愛美…」

「大丈夫ですわ…」

愛美は優しく奏の手を握った……