適性試験

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ぐにゃぐにゃと曲がった部屋が元通りになる。 景色は、 なにもない、草原に変わっていたけれど。 「ここは…」 【ここは、私が作った夢空間です】 「夢空間…」 【さあ、戦いましょう】 その言葉を合図に、球体は形を変え女の姿になった。 肌も髪も服も、金色に輝いていた。 長い、腰まである金髪が風もないのになびき、戦士のような服装で仁王立ちでいる。 「さあ、コレが貴方の武器」 「え……?」 投げられ、床に刺さった。 コウの武器とやらは、短剣。 「さあ構えなさい、コウ。死にたくないのなら…!」 「わわっ!」 長剣を構え、走ってくる。 コウは急いで剣を引き抜き、寸前の所で長剣を受け止めた。 金属と金属がぶつかる独特の音を放つ。 「反射神経は並ね」 「う、く…」 「力も、並」 体重をかけて来ているのだろう。 どんどん重くなる。 「さあどうするの?このままじゃ死ぬわよ?」 ギギ…ギギギ… 元々短剣と長剣とではレベルが違い過ぎる。 このままでは、短剣が長剣の重さに耐えきれず折れて本当に死ぬだけだ。 「(考えろ…考えろ…!!)」 並の学力だけれど… 懸命に頭をしぼって。 「そろそろ折れちゃうわね」 「(くそ…!わからない…!)」 どんな方法でも負ける。 この短剣じゃはねかえす事も、並の身体能力じゃ受け流す事も出来なくて。 「(どうしたら良いんだよ……!!)」 このままじゃ、本当に死ぬ。 どうしたら どうしたら… 「……………」 はぁ、とため息をついた彼女。 「この世界は、貴方の世界とは違うのよ」 「………?」 「貴方の世界の常識なんて、捨てなさい」 ピシッ… 短剣にヒビが入る。 「(常識を…捨てる…?)」 「………発想力も並なの?バカじゃないけど、良くもない…最もこの世界に合わないタイプだわ」 常識 常識 常識。 わからない…更にわからない。 あり得ない事をすればいいんだろうか?? 「…も、ヤケクソだ…」 「?」 「人は、空を飛べない。そんなの当たり前…!常識だ」 そう。これは常識。 鳥のように羽がなければ飛ぶ事は出来ない。 「……だから?」 「横がダメなら、上だろ…!」 「!!」 弾いても かわすのも 無理。 ならば、飛んでしまえばいい。 コウは思いきりジャンプした。 「……そうきたのね」 「ハァ…ハァ…ッ!一体…どうなって…?」
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