7人が本棚に入れています
本棚に追加
コトリ。
金色の装飾が施されたワイングラスが目の前に置かれる。
コウは、とてつもなくデかい城の食堂に腰かけていた。
レディヌも向かいに座る。
「さて少年。名はなんと言うのかな」
「あ、はい。篝火 コウです」
「篝火……素敵な名だ。私は先程名乗った通り、レディヌだ。
カーフィン・レディヌ」
言って、一口飲み物をすする。
コウは未だ口をつけない。
「素敵なお名前ですね。………僕はお酒飲めないのですが」
「飲めない?今幾つかな?」
驚いたように顔を上げる。
「16です」
「なら大丈夫……あぁ、日本では20からなんだったかな?」
「…はい」
ここは10歳から酒は飲んでいいからね。
と呟くレディヌ。
「10から?!早いですね…」
「そうかい?因みに結婚は8歳から可能だ」
「………はぁ…」
じゃあ気軽に○○ちゃんと結婚するーなんて言えない訳か…
と一人納得。
「日本は少々変わっているな。20歳からじゃないと飲めないなんて」
「…いや世界の殆んどがこのくらいですが」
「ハッハッハ、私達の世界では大体10歳前後だ」
大口を開けて笑うレディヌに、少々コウは苛立ちを覚えた。
「…ふぅ。さて、話の本題に入るが…」
レディヌがパチンっと指を鳴らすと、コウのグラスは下げられ、代わりにホットカップが置かれた。
匂い的にハーブティだ。
コウはソレを口に運んだ。
「ここは君達の世界ではない」
ごぷっ…
コウの口からハーブティが溢れた。
「ッッ!?」
「おや、大丈夫かな?…爺!タオルを」
パンパン、と手を叩くと奥から老人が真っ白な布を持ってやって来た。
レディヌがタオルを受け取ると、コウの口に当て、丁寧に拭き取る。勿論机のもだ。
「ゲホッ!」
「どうかしたかな、少年……いやコウ」
「どうしたも何も…どういう事ですか…」
確かにこの次世代、こんな城も地形も言葉も格好もおかしいとは思っていたけれど。
「だから、君が住んでる世界とは違う世界なんだよ。
だからココには日本もない」
タオルをたたみ老人に手渡す。
コウは元々混乱していた頭が更に混乱するのを感じた。
「ちょ、待って下さい。意味がわかりません」
「だろうね。前に来た少年もそう言っていたさ」
ニコニコと笑いながらコウをみつめる。
最初のコメントを投稿しよう!