7人が本棚に入れています
本棚に追加
「(な…何コレ何コレぇぇ!)」
光にぼんやり包まれたかと思えば、ふわ、と浮いたような感覚。
そしてグルグルと…ジェットコースターのように動いている。
「(なんなんだよ!適正って!俺は…)」
ガゴッ
「いってぇ!」
ふ、と光は消えて、浮力も消えた。
代わりに頭をぶつけたが。
「いたた…何だよ…」
頭を押さえながら立ち上がる。
するとそこに見えたのは、コンクリートで囲われた部屋。
真ん中に光る球体があった。
「………は」
「やっと来たのかよテメー」
「へっ!?」
後ろから声が聞こえたので、驚き急いで振り返る。
ソコには、銀の髪をし、自分と同じ制服を着た少年…が立っていた。
「だだだ誰ですか!」
「あ゛ぁ?んだよ、話聞いてねぇのかよ」
チッ、と舌打ちをして睨む。
コウは僅かに「ひっ」と声を上げた。
「じゃあ今から説明してやる。大人しく聞けよ」
「へ、あ、はいっ!」
肩がビクリと揺れる。
彼は壁に寄りかかりながらメンドクさそうに説明を開始。
「俺の名は富文恭。高一。俺はもう終わったけどな、テメーは今から戦うからそれに勝て」
「………はぁ?」
ペラペラと早口で進めていく恭に目眩を覚える。
もっとキッチリ話して欲しい…否、わかりやすいのはわかりやすいが…。
「だから戦って勝てばいいんだよ。おら、行って来い!」
「うわぁっ!?」
身体を思いきり蹴られ、光る球体の前に転がる。
痛みを我慢しつつ、ソレを見上げると何故か眩しくなかった。
どんな光も間近に見れば目を細めたくなったり眩しく感じるものであるが…
コウはとりあえず先に進みたかった為、振り向いて問う。
「……誰と何でどう戦うんですか」
「あ゛?その玉に触れ。それだけだ」
「そんなアバウトに…」
よろよろ起き上がり、その球体に触れてみる。
光に触れた所がジワジワと暖かい。
瞬間、
【貴方のお名前は?】
「わっ!」
球体が…喋った。
いや、喋ると言うより、脳に直接響いている感覚。
【貴方のお名前は?】
「あっ…と…」
【アットさん?】
「違います違います!篝火コウです!」
わたわたして答えると、球体はサラッと答えていく。
【カガリビ、コウ。了解しました。
貴方の得意なものは?】
「えっ…」
得意なもの。
簡単で難しい問いだ。
しかも、普通で地味だと思っているコウにとっては尚更。
最初のコメントを投稿しよう!