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「俺はテメーが嫌いだ」
「…………はい?」
またこの人はいきなり。
そういう意味を含めて、返事を返す。
「テメーみてぇなナヨナヨクヨクヨした弱い奴をみてるとイラつく」
「……俺も、貴方が嫌いだ」
ふと、口から出たのだ。
俺はコイツが嫌い。
コイツも俺が嫌い。
「人を見かけで判断して見下すような人は、好きじゃない」
「……ハッ」
ぐにゃぐにゃと部屋が曲がり、恭の姿も歪む。
「たっく、最悪だぜ」
「こっちの台詞です」
完全に見えなくなる前に、堪えきれなくなった笑みが漏れた。
楽しい……
退屈じゃない……
その笑みを
恭に向けたのが最後に、姿は消えた。
「さ。何が起きるのかな」
「なんだよ」
目の前から、球体とコウが消えた。
面白い。
退屈じゃない…
笑顔が特技、だなんて。
「ハッ、ちゃんと笑えるんじゃねーかよ」
彼もまた、久しぶりの笑みを浮かべた。
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