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「父さん、このAFの事知ってるみたいだな」
手に包まれているはずの父に問い掛けるアルギス、予想以上に早く応えは返ってきた。
『お前が生まれる前の事だ、今のお前よりも少し若い頃、俺はコイツに乗っていた、前搭乗者名を見てみな』
言われた通り、前搭乗者名を指定するアルギス、表れたディスプレイには、確かに今より若々しい父の写真とタツヤという名が表示されていた。
「タツヤ・ユンカース?」
『俺の本名だ今の名前は偽名、色々あってな』
「色々?」
『お前が生まれる前に、大きな戦争があった』
「知ってる、地球と火星の意地の張り合いだろ?」
『あの戦争の時に成り行きでコイツで出てな、パイロット登録消して、コイツを埋めて全部忘れようと思ったのに』
機体は壊れたエレベーターのシャフトを上昇していく。
『また、戦争が始まっちまうのかな』
「父さん―」
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