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『すまない、お前を巻き込んで』
「仕方ないよ、こうなっちゃったんだから……表にはまだアイツがいるのかな」
『いるだろうな』
「どうしよう、ノコノコ出ていってもやられるだけだろうし」
『すまんな、代わってやりたいが、バイオメトリクスがお前のもんになっちまった以上、俺じゃ動かせないんだ』
機体はどんどん出口に近づいていく、出たく無くても採掘場がいつ崩落するか判らない以上、ここから出るしか無いのだ。
「やるしか無いって事」
『すまん』
「やるしか無いっていうんならやるさ、俺だってまだ死にたくない」
出口が迫る、この先に紅いAFがいるはずだ、アルギスの頬に冷や汗がひかっている。
『俺の昔の戦闘データが役にたつかは判らないが、無いよりマシだフィードバックしとけ、あと記録映像も見とけよ、コレは役にたつかもしれん』
「判った」
一連の操作を覚えた、というよりはAIが少なからず補助に回っているようだ、表れた量子ディスプレイには既に《前搭乗者の戦闘データ、フィードバック完了》と表示されていた
「頼むぞアンシャル、息子を守ってくれ」
アンシャルの手の中でタツヤは呟く。
そんなタツヤの手は固く握りしめられていた。
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