522人が本棚に入れています
本棚に追加
「コイツはマルスアルマにもメディウスにも登録されていない、地球に行くまでは両方に狙われるハメになるぞ」
「え?」
父の言葉に首を傾げるアルギス、木星側に狙われるのは仕方ないとしても、火星側に狙われる意味がわからなかったのだ。
「火星の連中は軍に登録されていないAFとなると、喉から手がでる程欲しい代物でな、しかもここでエンリル鉱石が掘れていたのはアンシャルのおかげ、狙われる理由は木星側よりも多いのさ」
木星軍、メディウスに比べ火星のマルスアルマのAF配備数が極端に少ない、撃墜したメディウスのAFを修理して使い回す程だ。
「そんなの、地球に行ったからって」
「地球の軍ならアンシャルは登録されている、そこでバイオメトリクスを書き換えて機体から降りろ、後は俺がやる」
「一緒に来てくれるの?」
「いや後から行く、母さんにも説明しなくちゃならないし、準備も―」
タツヤの言葉が終わるか終わらないかのあたりで、2人の耳に地鳴りとバーニア特有の噴射音が聞こえてきた。
「早速おいでか、行け!アルギス、地球で会おう」
「地球で……」
走り去る父の背中を見つめ、もう今までの日常には戻れないと予感したアルギスは、アンシャルのタラップに掴まりコックピットへと上がっていった。
最初のコメントを投稿しよう!