地球へ

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「コイツはマルスアルマにもメディウスにも登録されていない、地球に行くまでは両方に狙われるハメになるぞ」 「え?」 父の言葉に首を傾げるアルギス、木星側に狙われるのは仕方ないとしても、火星側に狙われる意味がわからなかったのだ。 「火星の連中は軍に登録されていないAFとなると、喉から手がでる程欲しい代物でな、しかもここでエンリル鉱石が掘れていたのはアンシャルのおかげ、狙われる理由は木星側よりも多いのさ」 木星軍、メディウスに比べ火星のマルスアルマのAF配備数が極端に少ない、撃墜したメディウスのAFを修理して使い回す程だ。 「そんなの、地球に行ったからって」 「地球の軍ならアンシャルは登録されている、そこでバイオメトリクスを書き換えて機体から降りろ、後は俺がやる」 「一緒に来てくれるの?」 「いや後から行く、母さんにも説明しなくちゃならないし、準備も―」 タツヤの言葉が終わるか終わらないかのあたりで、2人の耳に地鳴りとバーニア特有の噴射音が聞こえてきた。 「早速おいでか、行け!アルギス、地球で会おう」 「地球で……」 走り去る父の背中を見つめ、もう今までの日常には戻れないと予感したアルギスは、アンシャルのタラップに掴まりコックピットへと上がっていった。
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