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コックピットに座り、機体を起動させて間もなくマルスアルマの機体から通信が入った。
『そこのAFのパイロット、先程の戦闘で紅いAFを撃退したのは貴様だな』
話し掛けてきたのは恐らく今、アンシャルを取り囲んでいるダルムの小隊の小隊長だろう。
「そうです」
『なんだ? 子供が乗ってるのか!?』
希少価値の高いAFに、子供が乗っている事に驚愕の色を隠せないダルム隊の小隊長は、一つ咳払いをするとまた直ぐに言葉を続けた。
『何故貴様のような子供がAFに乗っている?』
「ある人から預かりました」
嘘を言っている訳ではない、地球までとはいえアルギスは父から機体を託されているのだから。
『何? ……まあ良い、そのAFを我々に渡せ、それは貴様のような子供の為のオモチャとは違うのだ』
「それは出来ません」
『私は渡せと言った、これは命令だ』
「俺は軍人じゃないんでね」
ダルム隊の小隊長の言いように、いい加減怒りを覚えたアルギスは機体を浮上させる。
『き、貴様逆らうのか!』
「確かに父さんの言う通りだ、アンタらにコイツは渡せねぇ!」
途端、アルギスは機体を隊長機に向かって加速させる。
『ひっ!』
不意を突かれ容易に接近を許した隊長機を蹴り飛ばし、アルギスは機体を更に加速させ、住み慣れた街を離れていった。
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