地球へ

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市街地より北西へ十キロ地点の砂漠地帯。 「しかし、この機体だけで引力圏を離脱出来るのか?」 《本機のスペックなら引力圏離脱用のブースターを使用せずに火星を離脱出来ます》 ディスプレイの表示にアルギスは少なからず驚く。 AFのスペックが高いのは知っている、移動している間にも性能の確認は怠ってはいない。 生き延びるには機体の性能を熟知する必要があるのだ。 「驚いたな……他のAFも同じ事は?」 《不可能です、純エンリル製ではない今日のAFでは離脱時の衝撃に耐える事は出来ません》 「何? じゃあこの機体は純エンリル製なのか?」 《はい、本機は装甲材から電子回路にいたるまで全てエンリルにより精製されています》 「凄いな、なら早速引力圏を離脱しよう」 アルギスはコックピットのシートに深く腰掛け直し、操縦桿を握り直す。 しかしディスプレイには予想もしていなかった文字が浮かんでいた。 《火星の引力圏離脱の際の衝撃に、現在のアナタの身体能力では耐え切れず命を落としかねません、よって引力圏離脱は不可能です》
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