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「どうやってシャトル盗むんだ? 人質とか、嫌々それは駄目だろ」
シャトル打ち上げ施設の滑走路に、アンシャルを着地させたアルギスは、未だシャトルの強奪に煮え切らない様子だ。
このシャトル打ち上げ施設は空港と同じだ、滑走路をシャトルが加速し、離陸後背部のブースターで一気に加速して引力圏を離脱する。
荒涼とした火星の大地に建造されたシャトル打ち上げ施設。
そこは火星の重要拠点の一つであり、一種オアシスのような物でもある。
火星に住む人間がこの施設を攻撃する。
それはある種タブーのようなものなのだ。
《大型貨物運搬用シャトルを確認しました、目標の位置を表示します、近づいて下さい》
ディスプレイの表示通り、機体をシャトルへと向け移動させる。
しかし未確認のAFの出現、無断進入に施設の警備隊も黙っているはずがなかった。
『止まれ! そこのAF、不法侵入だぞ!』
警備隊仕様のCFダルムから聞こえてきた声に、アルギスは機体を止めた。
話し合いでどうにかならないかと考えたのだ。
「僕に攻撃の意志はありません、事情があります、シャトルを一機お借りしたいのです」
『所属不明のAFに、シャトルを貸す事など出来ん! 今すぐ立ち去れ!』
予想はしていた。
まず所属不明AFに乗っている地点で、敵と見なされる可能性が高いのは当たり前だ。
「僕は敵じゃない!」
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