初めての宇宙

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《背部ブースターパージ、第2エンジン点火、火星の引力圏を離脱します。》 大気圏の離脱に成功したシャトルは、次の火星引力圏離脱の為、更に加速する。 しかし、地上とは違い、空気の抵抗がない宇宙での加速は、それ程負荷の掛かるものでは無かった。 「さっきシャトルを守ってくれた機体は無事だったんだろうか」 《レーザーは所属不明機に直撃する直前で消滅しています》 「どこの機体だったんだろ」 《データベースに情報無し、ターミナルを経由し情報を収集します》 ‘ターミナル’昔で言うインターネットの事だ、ただし規模が違う。 21世紀初頭、地球を覆った回線。 それが今では中継ステーションを介して地球から木星圏までを無線で繋いでいる。 しかしながら使用目的は昔と大差ない、情報収集、コミュニケーション、様々なコンテンツのダウンロード。 新暦に入った今でも人は情報に縛られるのだ。 《情報を取得。 先程の機体はMAFX-ディファインド、民間企業チェスカの最新鋭機です》 「民間企業? 代表は誰?」 《民間企業チェスカの代表取締役はタツヤ・ユンカース、前大戦時の地球軍のエースであり、本機の前搭乗者です》
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