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「グロムオルカ発進、最大戦速」
シートに深く腰を掛け、ブリードは足を組み、操舵手に命じた。
加速していく艦は地球へと進路を取る。
「計画の第一段階は省略された、しかし取り逃がしたのは想定外だったな……まあ良い、地球で会おうじゃないか」
その頃、地球に向かうシャトルの中でアルギスは初めての宇宙空間を堪能していた。
「無重力ってなんか良いなぁ」
地球がいくら火星に近いと言っても、相当な距離だ、最短でも数日は掛かる。
アルギスは暇を持て余していたのだ。
「アイツらと来ればもっと楽しいんだろうな」
友人達の顔を思い出しながら、シャトルの窓を覗く。
小さな窓から見える、小さな星の海。
自分1人、誰もいないシャトルの中で、アルギスは妙な寂しさを感じていた。
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