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火星を出て数日、アルギスは退屈していた。
話す相手はアンシャルのAIのみ、旅客用ではないシャトルに、テレビやメディアプレイヤー等が有るはずも無い。
そんな折、シャトルの機内放送が鳴り響いた。
内容は「直ちに貨物室へ」という物だった。
ここ数日、敵の追撃も無く、気が緩んでいたアルギスに緊張が走った。
「敵か!?」
《シャトル前方に大型のデブリが接近、排除して下さい》
アルギスは表示されたディスプレイの文字に、安堵の溜め息をつく。
「なんだ、敵じゃ無いのか……迂回とか出来ないのか?」
《大幅にコースを変える事になります、そうすれば計算上、機内の食料及び水が底をつきます》
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