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「何考えているんだ秋斗!お前みたいな馬鹿が鯨に入れるわけ無いだろ!」
「父さんの言う通りだわ。そんな事無茶よ」
「でももう決めた。これは神様がくれた最後のチャンスかもしれないんだぜ。良いだろ父さんに母さん!!」
両親は不安そうな顔つきで俺を見つめた。特に父は興奮しているからか、俺に向かって茶筒を投げつけた。
しかし、30分もすると父も次第に冷静に考えるようになってきた。母と別室で相談するようになってきた。
そして待つこと2時間後。
「今、母さんと考えに考えを重ねて結論が出た。お前も24歳だ。好きにするが言い」
「え…じゃあ良いのか?」
「だが、その代わり条件があるぞ!鯨に入るまで此処に戻るなよ!そして、良い知らせ以外は連絡も入れるなよ」
「…分かった。ありがとう、父さんに母さん」
俺は心から両親に感謝した。これは必ず鯨に入らなきゃ2人にまずいぜ…
その夜、俺は早速鞄に着替えや様々な荷物を入れて上京する支度をした。そんな中、突然母が準備中にやって来た。
「ほら、持ちなさい」
「ん?御守り?でもコレ交通安全…」
「んな事はどうでも良いの!神様は全知全能よ。交通安全しか出来ない無能の神がいるわけ無いじゃない」
「いや、そう言う事じゃ無いだろ母さん…」
「兎に角、私は貴方が無事でいてくれれば何処に行っても良いわ。地球の裏でも応援するわ」
「母さん…ありがとう。俺、全力で頑張るよ」
次の日、雲ひとつ無い晴天日和。俺はこの山あいの田舎から上京する。この町から出るのは、恐らく修学旅行以来だ。
目指す先は首都圏にある鯨だ。俺の目指す先に夢があるんだ。
「よし、荷物は全部持った。あとはバス停に向かうだ…」
「コラッ!私を忘れないでよ秋斗!」
「!?」
仮住居から出てすぐ、香織が俺の前に現れた。しかも表情はご立腹。
「出て行くってどういう事?田舎が嫌なの?」
「此処も田舎も大好きだ。でも俺はチャンスを掴みたいんだ!だから此処から出て行く」
「私に黙って行くんだ…」
「ごめん、忘れてた」
「忘れてたなんて大馬鹿ね!でも…大馬鹿なあんたが合格したらキスしてあげるわ」
「えっ!?」
「絶対有り得ないけどね」
「はは…おいおい…」
会話をしているうちに、俺はバス停の前に到着した。丁度バスも来たところだった。
「頑張ってね秋斗」
「じゃあな」
こうして、俺は人生のチャンスを掴む為鯨本部へと向かうのでした。
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