1万分の鯨試験

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すると、警備員の小屋近くの門が開き、中から宮型霊柩車が現れた。しかも、乗っているのは何とあの少女とワニ頭。後ろには護衛と思われる2台の車も。 「ジジイ、行って…あっ!?」 「まさかあの時のワニ頭!?しかも少女も!?」 「アタイはついで扱いか!」 「何しに来たんだ?まさかエントリーか?」 「ええ…でもまさか去年の過去問だけでコレとは…」 「死者のダイヤモンドを守る奴なら当然だ。て言うか、こいつのエントリー断るのかジジイ?紹介したの俺様だぞ」 「!?」 警備員は驚き、大慌てで引き出しからエントリーシートを取り出した。そして俺にペンを渡した。 「エントリー良いのか!?」 「アタイ知ってる!1人は必ずアンタみたいな馬鹿いるよ!」 「馬鹿ってオイ…」 「精々頑張れよ。俺様待ってるからな」 そう言って、黒子とみるくは霊柩車をかっ飛ばして出掛けた。2人が去った後、警備員は緊張がほぐれて思わず腰が抜けてしまった。 「大丈夫か?そんな凄い方なのか?」 「鯨の全50部隊の中でAF9は低い方ですが、我々から見れば鯨なだけでもう…エリートだけで済ませたら逆に失礼だよ」 「エリートじゃ済まない?」 「言わば、アヌビス。死者の守護神だ」 アヌビスか…相当凄いんだろうな鯨の人々は。だからこそ、筆記試験だけで日本一の難関職業なのだろう。兎にも角にも、俺は無事にエントリーを果たしたのだった。 しかし、此処で問題発生。俺、今日何処で寝よう… 「鯨を探すのに夢中で、今後のアパートとか考えてなかった。ヤバい…今日はホテルか…」 金は一様あるが、節約しても1ヶ月が限界だ。早くバイトとアパートを探さなければ、今すぐホームレスになるしかない。 俺は考えながら街の中を歩き続け、足が疲れたと思えた頃にはもう夜に。だけと田舎と違い、夜なのにネオンの光が眩しくて星が見えない。自分の場所も分からない。何だか早速、ホームシックになってきた。 「都会には憧れていたが、何か寂しい街なんだな…ああー…どうしよう俺の人生…」 「ありゃ?また会っちまったぜオイ…」 どうしようもなく、俺は駅と思われる場所でしゃがんでいると、またまたあのワニ頭と出会った。仕事帰りなのか、喪服ではなく柄シャツにジーパンだ。 「まさかお前、無計画であのド田舎から来たのか?」 「まあな。貴方は何しているのですか?」 「酒飲んで帰るところだぜ」
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