1万分の鯨試験

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良いな、自宅があるって。俺はもう戻れないんだよな。 すると、顔色に出てしまったのか、黒子は俺に手を差し伸べて一言。 「我が家に来るか?安いアパートで空き部屋有りだぜ」 「本当か!?是非連れて行って下さい!」 「分かったぜ。で、名前聞いてなかったよな?」 「田島秋斗です!田島葬儀店の元跡取り息子だけどな」 「あの田島葬儀店!?お前のところの祭壇、綺麗だよな!」 「いやぁ…そんなぁ…」 実はこう見えて、俺の葬儀店は有名だったりする。爺ちゃんや父さんが、遺族の好みに合わせて祭壇を手彫りする。それは見事な芸術作品だ。本来なら、俺もその腕を受け継ぐ筈だった… 「残念だよな…あの祭壇は鯨でも不可能だぜ」 「ホントだぜ。あんな薬品さえなければ、我が家は平穏無事だった」 通称KB(キラーバッド)。悪を殺すと言う意味を持つ万能薬だ。時にウィルスを撃退する剣となり、時に身体を蝕む癌を制御する鎖となる。薬が生み出された事で、不治の病は皆無になった。 しかし反面、薬の副作用で生み出されたダイヤで俺達は苦しむ羽目に。 「通夜や告別式に襲撃は1番危険。だから犯人は、火葬場に行くまでの運搬中か、一時ダイヤを保管する店自体に襲撃するんだ」 「さながら紛争ダイヤモンドですよね。まさか、アフリカのような状況が此処で起きるなんてさ…」 生前にダイヤモンドが取れれば良かったのに、ダイヤモンドは皆心臓に出来る。もしダイヤモンドを取り出そうとすると、瞬く間に出血多量で死亡してしまう。だから死者でなければ、ダイヤモンドを入手する事が出来ないのだ。 と、歩いているうちに俺は黒子のアパートに到着した。 「着いたぜ秋斗。今日はもう夜だし、俺様の部屋に泊まれよ」 「本当に、ありがとうごさいます」 ワニ頭で怖そうな人だが、改めて見ると優しい人なんだな。 次の日、俺はアパートの大家さんと不動産に頼み、無事生活する場所を手に入れた。場所は2階の1番端っこだ。やっとこれで、勉強を始められるぜ。 「でもやっぱり、こんなに多くても問題は仏教とか冠婚葬祭だろうな…えっと何々…」 問1:中国始皇帝陵は世界で1番何が大きいか?そしてその数値は幾つ? 「知るかー!!」 ※答え:面積で約12万㎡ この筆記問題、世間じゃ無駄知識とか雑学に分類されるものばかりだ。中には、葬儀と関係ないのもあるよ。
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