1万分の鯨試験

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ちなみに、内容は雑学だけではない。仏教関係や冠婚葬祭は勿論、高校クラスの学問に時事ネタ、更には家事にアニメ漫画まで。絶対、葬式と関係無い上に無理に決まっているだろう… と思った俺は、終盤のページを開いた。すると、ある問題が目に入った。 「これ、記述問題だ」 確かに今までみた問題は、全て暗記しなければ不可能だが、その代わり全てマークシートだ。どうやら、最後の数問は記述問題らしい。しかも、内容は自分の気持ちを述べるものばかり。 「最悪、コレに賭けるしかないか。点数もマークシートより高いし」 だが、つべこべ言う暇はない。鞄から筆記用具とノートを取り出して勉強開始した。 「此処だな…秋斗のアパート。ママさんから聞いてて良かったわ…」 俺が引っ越して2ヶ月後、香織が俺に内緒でアパートにやって来た。しかも何故か不明だが、俺のアパートの場所と部屋番号を知っていた。 「27号室は…」 「おい秋斗!生きてるか!」 すると、香織の目の前に飛び込んできたのは、俺の自宅の扉を叩く黒子。 「秋斗!行き倒れたって本当なのか?」 「わ…ワニ頭…」 「よう嬢さん!秋斗の知り合いか?」 「爬虫類…いやぁぁぁぁ!?」「ん…なん…ちょ!?」 実は香織は爬虫類全般が苦手。特にゴツゴツした皮膚のワニが苦手である。空腹で頭がパーになっていた俺も、香織の叫び声で思わず正気に戻った。 「何で香織が此処に?」 「んな事より、この人退かしてよ秋斗!!」 「黒子さん、ごめん。こいつ爬虫類苦手なんだ」 「あ…ああ…ってか大丈夫か?大家からお前が行き倒れたって聞いたぞ」 「行き倒れ!?あんた何してるのよ!?」 「だからそ…」 「野菜と米持ってきたから、今すぐ食べなさい!」 ああ…黒子ならまだしも、香織はうるさい奴だよ。いちいち声はうるさいしな。でも、飯に困っていたのは現実だ。有り難く頂こう。 「無事な様だな。安心したし、俺は帰るぜ」 「心配してくれてありがとうごさいますね」 黒子は帰り際、俺の耳に一言囁いた。 「お前の彼女って、かなり可愛いな?」 「!?ちっ違いますよ!?幼馴染だ!!」 「はは、青春は永遠だぜ!」 最後の台詞、黒子が妙に三十路過ぎかアラフォーに思えた。顔がワニだから、年齢なんて把握出来ないけどな。 「秋斗、あのワニ誰なの?」
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