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俺は竹下和輝、高1。
ただの野球バカ。
勉強もできないし、顔もそんなにカッコ良くない。
優一自慢できる事が野球だった。
けれど……
『奥さん…。もう息子さんは…野球をする事が出来ません。』
医者から母へと告げられた一言。
今まで積み上げてきた物が、音をたてて崩れ落ちてゆく。
今だに信じられない。
このケガが…なんだって言うんだよ…。
大した事ないのに… 医者はいい加減な事、言いやがって…。
『あぁ~~~!!』
俺は大声で叫んだ。精一杯の声で。
もう何もかもが嫌になった。
俺は…夢がなきゃ生きて行けない。
もう俺には…
生きる意味など、
なくなってしまったのだ。
明日から、何をすればいい…?
俺には、野球しかないのに…。
何に向かって走ればいい…?
もう、夢は叶わないのに…。
もう俺はおしまいだ。
本気でそう思った。 そう思ったのに…
君と出会ってしまったんだっ。
今にも雨がふってきそうな、曇り空の下で…。
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